ランドデザイン

海外でのランドスケープ指導・セミナーなど Overseas landscape instruction and seminars

2025/06

題の通り、初となる海外での指導の依頼を受けまして中国にお邪魔させていただきました。

※写真は上海空港の上空。果てしないほど奥まで続く夜景に大陸を感じたのを覚えています。

今回は25万m2ほどの敷地の大型PJの設計・現場施工の是正などのコンサル業務と『意匠的に見る松の植え方』というテーマで現地デベロッパー・建設会社様を対象にセミナーをさせていただきました。

現地に着きましたら不動産・建築・ランドスケープ各部門へ一通りご挨拶に回らせていただいた後、現場の視察を確認をしました。詳細は載せれませんが、とにかく敷地が広くモダンな意匠にシンメトリックデザインの力強い印象の計画でした。

事前にいただいた資料・課題を元にお話させていただきました。

会議にも参加させていただき計画にも助言させていただきました。

 

 

その後はセミナー講師を務めさせていただきました。

通訳の方に一文ずつ翻訳をしてもらいながらお話させていただきましたが、現地の方の反応を見ながら進めさせていただくのはとても愉しいものでした。

 

テーマは『意匠的に見る松の植え方』です。

皆さん何となくご存知と思いますが、中国では松や槇などの庭木が人気なイメージがあると思いますがその通りでして、

『縁起の良さ』『意匠的な見栄え・高級感』『厳しい気候にも耐える実用性』が相まって人気があります。

 

 

そんな松の植え方・計画への取り入れ方について深掘りして資料と共にお話させていただきました。

画像はPPのページを抜いたものですが、このように『人工樹形(仕立物)』と『自然樹形(野木)』のそれぞれが持っている長所と短所、良い樹形とはどういったものか、空間に対する配置の仕方(設計の話)、現場での植え方についてお話させていただきました。

 

当然人気のあるものは画像左側の『人工樹形(仕立物)』ですが、日本と中国ではよく用いられている仕立て方に違いがありました。

・日本の庭木は苗木から幹を曲げ枝を造る盆栽の様な造り方

・中国ではある程度の大きさ・幹の太さまで育ったものを山採りし枝を造る仕立て方

この様な違いがありますが恐らく敷地の広さに影響を受けていると思います。両者の決定的な違いは幹にありまして、それがお庭とどう関係してくるか、それぞれ長所短所などもお話させていただきました。

 

(少し高級な火鍋。日本では豚肉ですが現地は全てマトンでして非常に美味でした。)

6日間の滞在でしたので食事も色々なところへ連れていっていただきました。

火鍋屋さんや社内食堂や顧客様が保有されているレストランや

 

(足に掠りそうなほどすぐ真横にバイクや自転車がバンバン通っています。)

ローカルなお店にも連れてっていただきました。

お世辞抜きに連れていってくれたお店はどれも本当に美味しかったです。

良いところに泊まって欲しい・美味しいものを食べて欲しい・この出張を良い思い出にしてほしいと奥ゆかしいものでなく、オープンにもてなして下さる感じが嬉しかったですし、その姿勢が素敵だなと思いました。

入国審査時にはまさに海外ドラマの様な衝撃的なワンシーンがあり不安でしたが、渡航前に抱いていた印象とは全く違った方々でらっしゃいました。皆様には本当にお世話になりました。

帰りの飛行機からの眺め。地形の等高線に沿った曲線のお庭のデザインの原石が無限に広がっていました。

通訳の対応をしてくださいますが『言語の壁さえなければもっとコミュニケーションが取れて役に立てる場面が多かったな』と反省しながら帰りました。

海外PJに携わり普段出来ない体験をし、自分自身の仕事における課題も見え、同時に今後の活動や生き方について考える良い機会になりました。また機会を頂けましたらお役に立てれるよう精進したいと思います。

 

※余談です

資料作りの翻訳の際に簡体漢字に触れ、改めて漢字を見つめ直しましたが非常に面白いなと思いました。

字としての機能性の高さや美しさにも改めて納得しましたが、驚いたのがバランス感覚の違いです。日本は空間の美に重きを置いた美的感覚と言われておりますが、簡体字は日本の漢字より要素が少なくも字としての機能性(デザイン性?)に優れていて空間性が美しいです。もちろん古いものでしょうがこれ以上引き算出来ない研ぎ澄まされた感があるというか、古いものでも古く感じずモダンな印象を受けました。お茶道具でいうところの利休型の様なものでしょうね。

興味が湧いたので実際に書いてみるとこれがまた難しい。が、不思議と間が持つ。

お庭の骨格の配置(ゾーニング)を決める際の全体の空間を見ながらデザインするのと一緒だよな〜と思いました。